人が歯を失いそこに再び歯を入れたいということは根源的な欲求であり、紀元前より人間や動物の歯あるいは様々な鉱物や金属をその部分に固定したり、顎の骨に埋め込んできました。
しかし、人体に悪い影響がなく、噛む力に十分耐えることができ、見た目の美しさの求めに満足のいくものはなかなかありませんでした。
人工歯根の素材にチタンが最適であることを最初に発見したのが、スウェーデンのブローネマルク教授でした。
骨とチタンがトラブルも起こさずに結合することを「オッセオインテグレーション」と名付けました。そして、優れたインプラントシステムであるブローネマルク・インプラントを開発し、1965年より臨床応用を開始し、その第一号患者さんは現在でも安定した状態でそのインプラントが使われており40年以上の歴史があります。現在日本では約50種類のインプラントシステムが行われていますが、その大半のものがこの原理に基づき開発されてきたものです。
<インプラントの長所と短所>
長所
①しっかり噛める
埋め込まれたインプラントがしっかり骨と結合するため、総入れ歯の場合でもぐらついたりせずに、どのような食べ物でも噛むことができるようになります。
②見た目が美しい
部分入れ歯の場合は、入れ歯を支えるクラスプと呼ばれる金属が見えますが、クラスプは不要となり、総入れ歯の場合には不自然さがなくなる設計が可能になります。
③隣の歯を削らなくていい
ブリッジと異なり、部分的に歯がない場合でも隣の歯を削らなくても歯の欠損部分を入れることができるようになります。
④心理的に自信が持てる
入れ歯が外れたり噛めないものがある心配なく、見た目にも入ればの金属が見えず美しいため、人前でも食事が自由にできて自信が持てるようになります。
⑤顎の骨の吸収を防ぐ
天然の歯と同じように、埋め込まれたインプラントを通して顎の骨に直接噛んだ力が伝わるため、入れ歯の圧迫による歯槽骨の吸収を生じることなく(顎堤が痩せることなく)健康な状態を保ちます。
短所
①手術を必要とする
通常の歯科治療に耐えられれば問題のない程度のものですが、必ず外科的な処置が必要です。
②治療期間が比較的長い
現在では、条件により即時インプラントという手順と同時に仮歯まで入れる方法もあります。しかし、全ての患者さんが可能なわけではなく、通常の治療より治療期間が比較的長くかかることが多くみられます。
(個人差がありますが骨と結合するのに数ヶ月かかります。)
③成功率は100%ではない
インプラントにおいては、その成功の基準が厳密に定められています。その厳しい条件の統計で5年後の残存率は下顎約95%・上顎約90%となっております。万一除去しなければならなくなった場合でも再治療を行うことにより、インプラント治療は成功しています。
④経過観察が必要
インプラントは人工物でありますので虫歯になることはありません。しかし、歯槽膿漏に似たインプラント周囲炎が生じることがあります。また、強い力が加わった場合には、負担過重による骨の吸収などが生じることがあります。その予防・兆候の早期発見のため治療後も経過観察が必要になります。
⑤健康保険がきかない
インプラント治療は健康保険がきかず、自費治療となります。上部構造(口腔内に見えている歯の部分)も含めて30万から40万前後となります。欠損の部位や上部構造の材質、骨の移植などの追加処置が必要かどうかなど症例により費用は異なりますので、相談は無料ですのでお問い合わせください。
インプラント治療のアドバイス
インプラント治療は信頼のおけるところで・・・
インプラントに限らず医療行為は均一な工業製品を購入するのとは異なります。担当医との信頼関係を築くことが重要です。わからないことや疑問点などを質問し、さらに必要に応じセカンドオピニオン(診断や治療方針について主治医以外の医師の意見を聞くこと)を得て、インフォームド・コンセント(説明と同意)に十分に納得してから受けるべきです。
インプラントは消耗品ではありません。
将来にわたりできるだけ長く、できれば一生使い続けられるようにしたいものです。
当医院ではメーカーの信頼性・将来までの安定性や実績も考慮し、ブローネマルクシステムを主体に症例に応じてインプラントシステムを選択・使用しております。
また、症例・経験年数の豊富な日本口腔インプラント学会認定医2名が診療を担当していますので、お気軽に質問していただけたら幸いです。